完全なイエス

聖書は神とイエス・キリストが完全な方だと教えています。また何人もの人間が完全な者であると述べています。ノア(創世記6:9)やヨブ(ヨブ1:1)がその例です。聖書はまたわたしたちに完全になるという目標に向かって努力するように教えています。

それだから,あなたがたの天の父が完全であられるように,あなたがたも完全な者となりなさい。(マタイ5:48)

完全になるようにとの戒めは,神が,わたしたちがこの世においては神に匹敵するような完全さのレベルに到達することを期待なさっているという意味ではありません。イエス・キリストでさえも,この世においでの時には罪のない方でしたが,この世においては完全さを達成されていませんでした。聖書のルカの13章の中で,イエスはご自分が復活した後完全になられることを説明なさっています。モルモン教が編集した聖書の脚注への聖書辞典によると、この完全さの意味はギリシャ語では,完結する,終結する,ないしは十分に発達するという意味であると説明されています。わたしたちはこの世では完全に発達したり終結したりすることは不可能です。救い主でさえ,わたしたちに勧告している完全さを復活するまでは達成出来なかったのです。その復活によって初めて主は完全で栄光に満ち,この世の様々な障害から逃れられる身体を受けられたのです。

イエスはわたしたちが完全さに向かって努力するように意図されました。失敗は避けられませんが,イエス・キリストの贖いによって悔い改めることが可能になります。十分悔い改め,正しい霊の状態である時に,わたしたちの罪は洗い流され,自分たちを離れ,少なくとも一時的に完全になります。悔い改める毎に,わたしたちが最終的に達成する完全な状態に近づきます。

完全に向かって進んで行くプロセスで,わたしたちは絶えずふさわしい才能やスキルを発達させ,神の教えを学び,天の父とイエス・キリストとの個人的な関係を発展させ,罪を悔い改めなければなりません。

モルモン教の使徒であるラッセル・M・ネルソンは完全であることを2つの概念にわけてこの世のものと永遠のものについて述べています。(ラッセル・M・ネルソン,「保留状態の完全さ」,モルモン教の総大会,1995年10月を参照) [1]

 

この世における完全さ

ネルソン長老は聖書に数名の人が完全であったと記載されていますが,それは彼らが過ちを犯さなかったという意味ではないと説明しています。この世の生活の目的は,試練を受けながら徐々に能力を増し加えてイエス・キリストの福音に生きることです。イエス・キリストの贖いは,この世の人々が完全さに向かって進む助けとなるように悔い改めの機会を備えました。主はヤコブ書の聖句によってわたしたちがこの世に住む人が完全であるという意味を理解する助けを与えてくださっています。「もし,言葉の上であやまちのない人があれば,そういう人は,全身をも制御することのできる完全な人である。」(ヤコブ3:2)このことはわたしたちがある特定な分野,例えばわたしたちが語る言葉について完全になれるということを暗示しています。ヤコブはそれができれば,その人の体全体を制御できると言っています。それぞれの部分で完全さを達成出来れば,わたしたちは次の段階へ進むことができます。

 

永遠の完全さ

イエスは弟子たちに神が完全であられるように完全になるように指示されました。イエスはまだこの世での御業に携わっておられましたので,主が言及していたのは永遠における完全のことでした。モルモン書の中で,主は復活後,他の古代の民に語ったとき,この指示を少し変えて話されました。「わたしや天におられるあなたがたの父が完全であるように,あなたがたも完全になることを,わたしは望んでいる。」(3ニーファイ12:48)復活された後で,イエス・キリストは今や完全で,弟子たちにご自分と神のようになることを指示なさったのです。

永遠の完全さはすべてのことを克服し,天の家における御父のものをすべて受け継ぎます。完全さは永遠の命を受けることです。すなわち神がされているような生活です。(ラッセル・M・ネルソン,「保留状態の完全さ」,モルモン教の総大会,1995年10月を参照)

 

この記事はモルモンウィキに投稿されたものです。

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Yoshihiko

子供の頃から動植物に興味を持ち、大学に入ると生態学等を学んで自然保護や育林をライフワークと考えるようになっていました。その私が人々の教育や成長に関心をそそられるようになったのは、大学卒業後2年間キリスト教 の宣教師として働いてからのことです。大学院で学校教育学を専攻し修士課程を終えた後、アメリカの大学で教授法の博士課程に進みました。卒業後はアメリカの私大で教職につき、日本での塾経営を入れれば、これまで30年以上も教育の実践に携わってきたことになります。現在では、博士論文に基づくセルフコーチングの方法論を発展させ、教育の分野だ けでなく、ビジネス、芸術、スポーツ、人間関係など、幅広い分野での応用を試みています。
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